すごい天パの現場監督

店舗内装・30代現場監督の内情と日々の興味をつらつらと

【設計】について③

おはようございます

 

今回は実務について書いていきます。

実務の中でも更にこまか〜い実例を挙げます。

性格が出ます。笑

設計に関わる周囲の方達も登場するので長くなりますがお付き合いください。 

 

前記事でも書きましたが、クライアントの思いをより良いカタチに導き、表現することがデザイナーの仕事です。デザインはアートではありません。

 

すでに取引のあるクライアントが出店する例を挙げていきます。

 

設計の流れ

某SCに出店の場合(スケルトンで新店)

  1. クライアントより出店情報あり
  2. 現地確認前にもらえる資料をもらう
  3. クライアント打合せ
  4. 現地確認・現地調査、設計説明会開催
  5. プラン作製
  6. プラン提出・修正
  7. 内装監理室へ実施図及び書類を提出
  8. 内装監理室よりチェックバックこの記事ではここまで
  9. 実施図修正・提出
  10. 施工会社への見積図面を送信
  11. 工事着工
  12. 工事中の設計監理
  13. 引き渡し前チェック
  14. 工事竣工
  15. 竣工図を施設へ提出
  16. オープン

あくまですでに取引があり、デザインの仕様が決まっている場合です。

さぁ、ここからさらに細かくしていきますよ。。

 

2.現地確認前にもらえる資料をもらう

当たり前じゃん!と思ったそこのあなた。そうなんです。当たり前なんです。笑

ここでいうもらえる資料とは

 

  • 区画図(CADデータ、dxf等、、PDFは基本NG!
  • 設計指針書 or デザインクライテリア

 

区画図:オーナーが賃貸契約するお店の区画の図面

↑これはなんとなくイメージが出来るかと思います。

平面図だけでなく、天伏図や防災設備が書かれている図面が望ましいです。

PDFは極力避けましょう。大体スケールがあっていません。泣

 

設計指針書とは

出店するSCによって法規制とは別に基準を設けている。

  • 店舗ロゴサインのサイズ規制やファサードは発光サインのみ
  • ファサードの開口率制限
  • 入口から500以内の什器高さ制限
  • 照明器具の色温度規制 etc...

他にもたくさん規制がありますがこのくらいにしておきます。

特に有名な駅ビルやSCはたくさんの項目があり、本みたいです。笑

下手すると50ページぐらいある時もあります。

これを網羅し、法規制もカバーし設計をします。 ひぃ〜

 

4.現地確認・現地調査、設計説明会開催

現地確認、調査は実際に寸法を計り、区画図との整合性が取れているかを確認します。

ここを疎かにすると工事中に施工会社が泣きます。笑

し、設計も大変なことになります。

  • スプリンクラー(防災設備)と照明器具が被っている。。
  • 什器が入らない。。

などなど、何万通りもの弊害が起きます。笑

 

設計説明会とは

大きな部屋に施設担当者と内装監理室と出店テナントと設計会社がずらーっと並んで

設計指針書の読み合わせをします。

施設担当者が新築や改装の意義、目的を

内装監理室が設計指針書を読み上げます。

↑書いてあることをほぼそのまま読みます。

 

そして最後に「質問のある方は〜」となりますが、大体誰も質問しません。

質問すると周りから

「おーい、終わらねぇだろ〜」という空気が出ますが

「おっ、それ聞きたかったわ」

という時もあるので聞きたいことは勇気を持って聞きましょう!

大勢の前で話す良い機会です。笑

 

 7.内装監理室へ実施図及び書類を提出

内装監理室が実施図を法規制と指針書に沿っているか確認します。

内装監理室ってなんだ。

 

内装監理室とは

テナントが出店をする際に様々な人たちをつなぐ専門の人です。

施設管理者・オーナー・設計・建築工事会社・施設工事会社・テナント工事会社

etc..

【ソフト】と【ハード】と呼ばれる二通りの役割に分けることができます。

 

【ソフト】設計監理部隊

  • 消防法などの法規制に沿っているかチェック
  •  指針書に沿っているかチェック
  • 工事が大きい場合は諸官庁へ書類を提出・作製したり etc...

【ハード】施工監理部隊

  • 工事期間中、作業員が工事ルールを守ってるかチェック
  • 工程の進捗監理
  • 搬入出の監理
  • テナント工事会社の提出書類のチェック etc...

なので8のチェックバックは内装監理室の【ソフト】から来ることになります。

 

内装監理室の方達は色んな方との板挟みになることが多く、かなりのメンタルをもたないと潰れます。

現場の規模によっては一人体制、大きい新築現場はそれこそ20人近くいる場合もあります。

現場によって昼夜がめまぐるしく変わります。

新築現場の度に現場近くの2〜3ヶ月マンスリーに居を構え、家に帰らないことがザラです。私が聞いた人で最長は1年家に帰ってないと言っていました。。

 

あれ、、辛いことしか書いてない。。

と話が脱線して長くなってきましたので8以降は次回に書きます。

 

天パ 

【設計】について②

こんばんは

早速昨晩の続きです。

 

三番目に重要なこと

聞く力!

なんだよ。設計の話じゃないんか。

 

設計知識技術うんぬん、デザインうんぬん

ありますが、まずはオーナー・店舗開発担当者が

  • どんな空間を作りたいのか
  • 商品をどのように魅せたいのか
  • etc...

作りたいものを聞き出す力が必要不可欠です。

 

あなたが絶対これが良い!かっこいいし、予算にも合う!と意気込んで

プランを提出しても、クライアントが入れて欲しかった要素が入っていなければ

 

「ああ。。」

っていうリアクションになります。

私も経験がありますが、なかなかな空気が流れます。笑

 

「そうじゃないんだよなあ。。」

っていう空気が伝わります。笑

 

前回も書きましたが【設計デザイン】はアートではありません。

あくまでクライアントがしたいこと、叶えたいことを聞き出し

カタチにすることが仕事です。

その上で法規制施設のデザインクライテリアを網羅しなくてはいけません。

 

設計ってなんなんだ。

デザインってなんなんだ。

となると思います。

 

デザインってなんなの!!

 

デザインについて

大きく分けると2種類のデザイナーがいます。

 

①時代に沿ったデザイナー

②スタイルのあるデザイナー

 

①は流行のデザインを表現できるデザイナーです。

少し前に流行ったブルックリンスタイル

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北欧系

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などなど

流行のデザインを表現できる器用なデザイナーです。

特に店舗デザインは流行が顕著にあります。

 

今はNorthfaceに見られる

の組み合わせが一番流行っているかなぁと感じます。

 

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こんなのデザイナーじゃない!

流行に乗らずに自分のスタイルを貫くのがデザイナーだろ!

と私は学生の頃思っておりました。笑

そんな器用貧乏なデザイナーになりたくない!と

 

器用貧乏じゃないです。

様々な流行を取り入れつつ、全く同じにしないで絶妙なバランスで仕上げを組み合わせることはとても大変です。尊敬します。

 

私自身「うわあ。。この床の色じゃなかったなあ。。」ってことがあります。泣

 

何度もそういったトライ&エラーを繰り返して、そういったセンスが培われていくのです。←何を偉そうに!

 

②スタイルのあるデザイナー

ある特定のジャンルに特化したデザイナー

(ブルックリン、北欧、ナチュラル、和モダン、アメリカンetc...)

特定のジャンルに自身のエッセンスを加えたデザインを作る

 

②のデザイナーにはニッチでコアなファンがつきます。

例えばアメリカンテイスト+和モダン

 

アメリカンと和モダン

 

???

 

と感じますが、刺さる人からしたら最高のデザインでかつ、その人しか作り上げることができないので恐らく、営業活動をしなくとも刺さる人から相談や依頼が来ます。

 

さっきの話とは逆で、ある意味不器用なデザイナー

 

どうせなるなら不器用なデザイナーになりたい!笑

実際に尖ったデザインで有名な方達もいます。

 

しかし、デザインも仕事です。

仕事がなければお金も得ることができません。

デザインでご飯を食べることができるから【デザイナー】なのです。

ニッチ過ぎるデザインで刺さる人がいなければ只の趣味です。

 

ですので①・②のどっちが良いかなんてことはありません。

 

みなさんはどちらのデザイナーですか?

学生の子達はどちらのデザイナーを目指しますか?

 

どちらを目指すかはみなさんの自由です。

 

次回も【設計】について書くぞ

 

天パ

 

【設計】について①

こんばんは

 

前回、大まかに店舗内装の仕事を書きましたので、今回は【設計】について

掘り下げていきたいと思います。

 

今現在、空間系・インテリアの大学・専門学校に通っている方たちに是非読んで欲しいです。

実際に仕事としてみた時に学生の頃描いていた【設計】とは大きな隔たりがあります。

 

学生さんが思うデザイナー像

私が専門学校に通っていた時はこんな風に考えていました。

 

設計=デザイン

デザイン=今までにないような・革新的な・前衛的な

 

間違ってはいないのですが、正解ではないし、これはいわゆるアーティストだと今は思います。

もちろんデザイナーの中にはアート寄りの活動をしていて、そのデザイナーの匂いがする作品でありつつ、用を成すモノを作り出している方達もいますがそれはほんの一握りの人たちです。

(例えばカッコよくてはじめて見るカタチなのに座りやすい椅子とか。)

↑こんなのあるのか?笑

 

もちろんそこを目指すのが一番良いと思います。

個性やオリジナリティを出し、世の中に認知され、評価されること。

それが一番良いし、計算せずにそれができたら最高です。

私も未だにそうなりたいと思っています。

 

店舗設計・デザインという仕事

店舗設計は空間の雰囲気ももちろん重要ですが

 

一番重要なこと

売れる!

お店を作るということに尽きます。

 

なぜか。

 

物販でも飲食店でも同じです。

売上のないクライアントさんは出店・改装の予算がありません。もしくは少ないです。

 

それは何故か。

 

飲食店であれば提供する食べ物に力を注ぎます。

アパレルであれば売り物である洋服に力を注ぎます

空間は二の次です。

あまりに安っぽい空間にすることはできないのでそれなりに工事をしたりします。

 

売れるお店ってなんなのかな。ってよく考えますが答えは出ません。

なので学生の方は流行っている店があれば何で流行っているのか、色々なお店を

訪ねてみてください。何も購入しなくいいんです。体感する事が大切です。

 

 

 

二番目に重要なこと

予算!

の中でお店を作ることです。

 

何故予算が二番なのか。

 

工事のお金を支払うのはあなたでもあなたの会社でもありません。

 

オーナーさんです。

 

オーナーさん、従業員さんが一生懸命働いて作った予算の中で新店を出したり、改装をしたりします。

デザイナーにお金を支払い、施工会社にお金を支払い、その後また売上を確保し予算を作っていきます。

工事代金はウン千万、億と平気でいきます。

 

一般市民は人生でこの金額を使うのは一生に一度だと思います。

 

自分がお家を建てる時のことを考えてください。

予算が4000万しかないのに4500万の家を提案されても、むむむ。

ってなりませんか。そりゃさあ!4500万の方がいいけどさあ!って

 

まずオーナーさんに「ご予算はどのくらいでしょうか。」

と尋ねるのが良いと思います。

 

そうすれば施工会社からどえらいお見積が来ることもないと思います。

*デザイナーは仕様・仕上・納期のコスト感覚がない方もたまにいます。。。

要注意!!

 

三番目に重要なこと

聞く力!

 

現実的な話ばかりで設計やらデザインやらの話はでておりませんがお付き合いください。笑

きりがないので三番目の「聞く力」は次の記事で書くことにします。

 

天パ

店舗内装の仕事って?

こんにちは

 

コロナウイルスによる自粛でGWにも関わらず、お家でのんびり書いています。

自粛要請のみなのに外出する人の減りかたは日本人的と言いますか。

強制力がない中、よくできるなぁ。と思います。

右向け右である程度の人が右を向く国民性は諸外国ににはないような。笑

 

 

タイトルのとおり

そもそも店舗内装の仕事って何だ?

【設計/施工】とよく会社のHP等に書かれていますが実際はどんなことをするのか。

ということでまずそこの流れをざっくり紹介していきたいと思います。

 

まず大きく2つの流れに分けると

①オーナー、クライアント【出店者】→

デザイナー【設計】→

内装業者【施工】

 

②オーナー、クライアント【出店者】→

設計施工の内装業者【設計/施工】(私はここ!)

 

となっていますが実際は更に細分化されていきます。

内装下請けさん→

一人親方、職人さん→

応援の職人さん

などなど、、

これに関しては別で細かく触れていきたいと思います。

 

店舗内装の仕事

【設計】

  • クライアントとのヒアリング
  • イメージ写真や実際にある店舗などのイメージ写真で共有する
  • レイアウトや図面作製、仕上材の選定
  • SCや百貨店に出店の場合はその施設の担当と打合せ(デザイン基準や意匠の色、仕上など施設によって基準があります。)
  • 施工会社へ図面を送る
  • 施工会社へのチェックバック及び監理を行なう
  • 工事後の引き渡し前チェック

【施工】

  • 指名or入札物件
  • 設計より図面入手、見積作成
  • 予算に応じてVE、設計へ仕上材の変更や造りの変更を提案
  • 工程表/施工図の作製(施工図は場合に応じて設計のチェックを入れる)
  • 施工業者への発注(一括発注orバラ発注)
  • SCや百貨店の施設に入る場合は着工前に大量の書類を提出します。。
  • 着工前の現地確認
  • 現場監理(仕上がりや寸法チェックなど)←ここがいわゆる現場監督のイメージ

〜工事中〜

  • 引き渡し前チェック
  • 引き渡し
  • アフターメンテナンス(修繕・補修・維持)

ざっくり分けるつもりでいましたが、結構細分化してしまいました。笑

内装工事の流れという感じです。

 

会社の規模にもよると思いますが出店にあたり多岐に渡る人たちと関わり合います。

特にSCや百貨店に入る場合は更にその工事期間中はほんと〜うに色んな人に会います。笑

 

施設担当者・内装管理室・A工事/B工事/C工事などなど書くとキリがないですが、

コミュニケーション能力はかなり問われます。そして、ない人も続けていくと嫌でもつきます。笑

 

いろいろ細かく書きたい。。

が、ざっくりとこのあたりにして、次回は【設計】【施工】をより細分化して

書いていきたいと思います。

 

天パ

 

 

 

30代 店舗内装現場監督

こんにちは

 

都内在住の30代の天然パーマ 店舗内装の現場監督/設計をしています。(5年目)

このブログではこんなことを書いていきます。

 

  • 華やかに見えるデザイン・内装業界の内情
  • 現場あるある
  • 店舗内装あるある
  • 日々の興味
  • 趣味
  • 思った事

 

つらつらと書いていきたいと思っています。

 

特に

デザイン関係の大学/専門学校に通っている子達

内装業界・現場監督1年生の子達

に届くといいなあと思います。

 

少しずつ書いていくぞ

 

天パ